遺産分割


遺産分割協議

遺言が存在しない場合や、存在したとしてもその効力が認められない場合などには、相続財産は、相続人全員で分け合うことになります。そのための話し合いを遺産分割協議といいます。この話し合いは、相続人全員で行われなければ無効となることに注意が必要です。遺産分割が終了した場合、再度争いや揉め事が起こらないようにするために遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書には、相続人全員の署名・印鑑が必要になります。

遺産分割調停

遺産分割協議がまとまらなかった場合、または協議をすることができないときには、家庭裁判所での調停の手続によって分割を進めていくことになります。調停とは、家事審判官及び家事調停委員からなる家事調停委員会の指揮のもと、非公開の場で、法律的な問題点のみならず、人間関係も考慮しながら、全員の合意が成立するよう話し合いを進めるものです。ただ、話し合いと言っても申立人と相手方は待合室も別々で、それぞれの主張も別々に聞いてもらえます。調停の期日は概ね1か月に1回ぐらいの割合で設けられ、1回につき2~3時間くらい行われています。調停の期日の回数や期間は特に制限があるわけではなく、調査の必要性や調停成立の見込みなど様々な事情によって異なります。ただ、調停もあくまで話し合いである以上、まとまらないこともありえ、調停委員会が当事者間に合意が成立する見込みがないと判断すれば、調停は不成立として終了します。

遺産分割審判

遺産分割調停が不成立に終わった場合は、自動的に審判と呼ばれる手続に移行します。審判は、裁判官である家事審判官が、遺産に属する物又は権利の種類及び性質,各相続人の年齢,職業,心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して,審判をすることになります。そして、審判には法的強制力がありますので、その内容にしたがって遺産の分割を行います。なお、審判の内容に不服がある場合には、2週間以内に高等裁判所に対し即時抗告の申立てを行うことができます。