弁護士の最所です。
15日にグーグルに対して、表示の差し止めを命じる裁判がなされたとの報道がなされました。
グーグル本社とは、表示される検索結果について、相当なやりとりを行ったこともありますし、その不誠実な対応に、憤りを感じたこともあります。
私としては、今回の判決によって、グーグルが適切な対応をしてくれることを切に希望する次第です。
ところで、今回の訴訟に関して言えば、グーグルに対して、サジェスト機能の差止を求めることが、有効な対策であったのかという点については、疑問がないわけではありません。
先行して行われた仮処分命令に関する記事を調べてみると、現在でも、サジェスト機能で差し止めの対象となったワードが容易に推定できる状態になっているようです。
そもそも、名前を入れたときに、サジェストとして表示されるワードを表示させないようにしたところで、検索結果として不適切な表現がなされたブログや掲示板が表示されれば、特定人に対する誹謗中傷行為がなされている状態には何ら変わりはありません。
2012年にグーグルに対する仮処分命令が発令されたとすれば、依頼者が今回の件を依頼してから相当の期間が経過していることになるかと思いますが、その間に、ネット上に掲載されている犯罪行為に関与したとする中傷記事に対し、掲示板の運営者などに対して、削除要請をしたり、仮処分命令を取得すれば、検索でヒットすることも相当程度なくなったのではないかと思います。
検索でヒットしなければ、グーグル検索で、サジェスト機能に基づいて表示される不適切なワードも自然と表示されなくなるはずです。
今回の判決では、サジェスト機能が「違法な投稿記事のコピーを容易に閲覧しやすい状況を作り出している」と指摘されております。
確かにそのような側面はあるとは思いますが、複数の対処方法がある中で、グーグルに対する訴訟を行う事が、必ずしも有効であったのかという点については、疑問がないわけではありません。
もちろん、私は、当事者ではありませんし、何か特別な事情があったのかもしれません。その意味では、あくまで部外者の勝手な意見にすぎませんが、仮に私が本件を担当したとすれば、別の方法を検討したのではないかという思いはあります。
とはいえ、グーグルの不誠実な対応で、多くの方が傷ついたり、泣き寝入りを強いられているという現状があるのも事実です。
今回の判決が、名誉毀損表現で泣き寝入りを強いられている人々に希望を与えてくれた、その意味では、すばらしい結果を残していただけたのではないかと考えております。