弁護士コラム

先物取引について 弁護士 稲永泰士


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 先日、依頼を受けていた先物取引の和解金の入金がありました。
 相手方は、既に先物取引業務をしておらず、取引終了から3年以上も経っていたので、おそらく裁判は不可避だと思っていましたが、何とか交渉で解決することが出来ました。

ここ数日、アベノミクスの副作用?か、株価の乱高下が続いています。
 かくして、私もその被害者の一人です(笑)。

 上場株式の取引は、自己責任の範囲内と言えますが(但し、ここ最近は、市場原理とは別の要因が指摘されていますが・・)、先物取引については、この自己責任原則があてはまらないことが多いです。
 ここから先は、一般論ですが、
 業者の中には、取引員が委託手数料を稼ぐために無意味な取引を行ったり(いわゆる客殺し)、先物取引の危険性についての説明を怠ったり、金融取引経験のない主婦など、本来勧誘すべきでない方をターゲットにしたり、老後のための資産を食い物にする悪質な業者も、中にはいます。
 万一、悪質な業者にあたった場合には、必ず損をするようにできている(仕組まれている)と言っても、過言ではないかもしれません。

先物取引について簡単に説明すると、将来の一定の時期に商品などを受け渡しすることを約して、その価格を現時点で決めて行うような取引です。但し、実際に現物のやりとりはしません。
 客は、物品の種類(金や大豆、灯油など多岐にわたります)、受渡時期(限月)、数量(枚数)などを指定し、担保としての委託証拠金を差し入れて建玉(買うか売るかについてで、買玉、売玉と言います)をして、市場の値動きを見て落玉(売戻か買戻)をして、その差金を決済して、業者の手数料と税金を払って清算するという仕組みになっています。

業者の手数料稼ぎの代表的な方法として、両建、直し、途転、日計り、不抜けという取引手法があります。
両建というのは、簡単に言えば、既にある商品について買玉をしているのに、反対の売玉を建てることを指します。
 売玉を建てるということは、買玉に損が出ているということなので、損切りをすればいいにもかかわらず、その損失をくい止めると称して、別途証拠金を出させて反対の売玉を建てさせてその分の手数料も稼ぐというものです。
 直しは、一日に何回も同じポジションの建玉をすることで、簡単に言えば、買玉を一旦仕切らせて、また買玉をするようなことです。  買玉のままでいいのならば、別に仕切る必要はないにもかかわらず、2回仕切らせれば、2回分の手数料が業者に入るので、業者のための無意味な売買であることが多いです。
 同じように、建玉をしたその日のうちに仕切らせるようなものが日計りと言います。
 一日のうちでそんなに値動きがないにもかかわらず、手数料稼ぎのために仕切らせるものです。
これらは一例ですが、このような違法性の高い取引は、その業者に対して取引の履歴(委託者別勘定元帳、委託証拠金現在高帳など)を取り寄せて取引内容を分析することでも明らかとなります。

先物取引の被害にあわれた方の中には、家族に打ち明けることができずに、泣き寝入りをしている方もいます。
 被害に遭われた方は、泣き寝入りする前に、一度相談に来られることをおすすめします。

        

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