弁護士の最所です。
依頼者の方から、相手方の主張している金額が相場なのか知りたい、相手方に○〇円の請求をしたいが、相場なのかといった質問を受けることが良くあ ります。
相場があるかと言われれば、「ない」というのが回答です。
私どもは、依頼者の方からお伺いしたご事情をもとに、裁判になった場合に、裁判所が認める金額としては〇〇円くらいだろうと予測することはありま す。
その予測する金額よりも、明らかに高額の金額を相手方が要求している場合には、現時点で和解に応じる経済的メリットはありませんので、任意の交渉 を打ち切って、裁判で争った方が良いのではないかとの弁護士としての考えを説明することはあります。
もちろん、経済的なメリットがなくても、早く紛争を解決することにメリットがある場合もありますので、ケースバイケースです。
早期解決にメリットがある場面では、裁判で争うとすれば、相手方の主張する金額がそのまま認められる可能性は低いものの、相手方も争って きますし、時間もかかるという現実をご説明した上で、和解されるか否かについてご判断いただくようにしております。
また、たとえば、相手方を殴り怪我をさせてしまったような場合(刑事事件の場合)には、被害者の方と示談できるか否かが刑事処分にも大きく影響します。
このような場合には、不起訴の可能性や見込まれる罰金の金額等を考慮して、示談をするのであれば、〇〇円くらいは提示する必要があるというよう な説明をすることもあります。
結局のところ、相手方と任意に和解できなかった場合に生じる不利益(裁判による経済的時間的コスト)やリスク(敗訴の可能性)等を踏まえて、和解の提案を行うか、あるいは、相手方の提案を拒絶するかの判断をしていただくことになります。
ちなみに、交通事故に関する慰謝料の算定については、類型化された基準がありますし、婚姻費用分担や養育費についても、一定の基準があります。
これらについては、「相場」という概念を観念できるといえるのかもしれません。
(参考)