湘南平塚事務所弁護士の最所です。
田中一哉弁護士(サイバーアーツ法律事務所)が公開した「裁判官マップ」)について、読売新聞オンラインに「裁判官に「口コミ」3000件超、弁護士がサイト開設…星の数で判決評価・「この世から消えろ」など中傷も」との記事が出ていました。
最高裁は、読売新聞の取材に対して、「SNSや各種ウェブサイト上において個々の裁判官への誹謗中傷やプライバシー侵害といった違法な投稿が許されないのは当然である」とコメントしています。
個々の裁判官への誹謗中傷やプライバシー侵害が許されないのは当然です。
「許されない誹謗中傷」を裁判所はどう判断してきたのか!?
問題は、これまで、許されない誹謗中傷というものを、裁判所が、どのように判断してきたかという点です。
今回の記事には、「特定の判決を示した上で「この世から消えろ」「裁判官の前に人として終わっている」などと、裁判官個人を攻撃する投稿も見られた。」と書かれています。
記事では、「裁判官個人を攻撃する投稿」と書かれていて、「裁判官個人を誹謗中傷する投稿」とは書かれていません。
これは、おそらく、この記事を書かれた記者の方が、ネット上の誹謗中傷の問題を取材される中で、この程度の記載では、誹謗中傷とまでは言えないのではないかと考えられたからではないかと思います。
ネット上の誹謗中傷の問題に取り組む弁護士の立場として申し上げると、「裁判官の前に人として終わっている」程度の記載では、単に意見であるとして、誹謗中傷に該当すると判断されることはなく、裁判所が削除を認めることは、まずないでしょう。
また、「この世から消えろ」は、少々微妙ですが、「消えろ」という表現は「しね」という意味であり、生きている価値がない人物であるとの表現であると捉えた場合には、侮辱表現に該当すると判断される可能性はあります。
とはいえ、『特定の判決を示した上で「この世から消えろ」』という表現の場合には、その裁判官が出した判決に対する批評の一環として、「このような判決を出すような裁判官は、この世界からいなくなってほしい」という意見であると判断される可能性の方が、圧倒的に高いと思います。
その意味で、過去の裁判例の立場からすると、この記事のいう「特定の判決を示した上で「この世から消えろ」「裁判官の前に人として終わっている」などと、裁判官個人を攻撃する投稿」に対する削除を命じることはできないはずです。
なお、これらの結論を作ってきたのは、個々の裁判官自身です。
「この世から消えてほしい」裁判官とは!?
仮に、何でも意見として許されるなどという画一的な裁判官が、自らが攻撃を受ける可能性があることを理解して、改善されるのであれば、それは、それで、良いことだとは思いますが、自らが、攻撃を受けた際に、同一の判断が出来ないようでは、それ自体、権力のある職業人の立場として、どうなのかという思いはあります。
裁判官は、言わずと知れたエリートです(司法試験に若くして上位で合格し、合格後の司法研修所の成績も上位3分の1以内に入らないと、そもそもなることができません。)。
そんな「エリート」が、普通に生活をしていて、人から面と向かって、批判されたりすることなど、全くなかったと思います。その意味で、自らが安全地帯にいながら、所詮他人事として、「表現の自由」を理想論として語り、受忍限度であるなどと、断じてきた裁判官には、当事者の立場を真摯に理解してほしいと思います。
当事者の立場を理解しないできない、あるいは、しようとしない、裁判官は、この世から消えてほしい、というのは、ネット上の誹謗中傷の問題に取り組む弁護士の共通の感覚であることは間違いありません。

