グーグルに対し医師らが提訴


弁護士の最所です。

昨日、都内の医師など63の個人と団体がグーグルに対して、訴訟を提起しました。

「グーグルマップの不当なクチコミ投稿で権利侵害”医師ら提訴」

複数の原告による訴訟で、複数の弁護士による弁護団が結成されています。

私自身、弁護団に入っている訳ではございませんが、弁護団の先生方は、私自身も良く知っている先生方で、皆様、非常に優秀な先生方であることは間違いありません。

「GOOGLEマップクチコミ被害訴訟」弁護団のホームページで、訴状が公開されています。

報道では、グーグルマップに表示される「クチコミ」に、不当な内容が投稿されても削除してもらえないとして、訴えを提起したとの内容が主に紹介されていますが、訴状の内容を見ると、グーグルのシステム上の不備が違法であると主張されています。

具体的には、「ビジネスプロフィール」への登録が事実上強制されること、嫌がらせ的に低い評価を投稿することが可能であること、真実の利用者以外の者であっても投稿が可能であること、施設管理者からの反論が困難な状態で、匿名のクチコミにさらされていること、これらのシステム上の不備が違法であると主張されています。

私も経験があるのですが、同業者が営業妨害的に誹謗中傷を行うケースは実際には多くあります。医療機関の場合も例外ではなくて、患者のふりをして、低い評価を行ったとしても、システム上、それらの投稿を禁止する術はありません。

個人の主観的な意見として、記載されてしまうと、それを名誉毀損であると主張することは著しく困難です。真に、サービスを受けた人が、自らの感想として投稿しているのであれば、まだ理解はできますが、必ずしも、真にサービスを受けた人による投稿であるかを確認する術自体、何ら担保されていません。

また、医療機関の場合、患者さんが求める内容通りの対応をすることが必ずしも適切であるとは限らない場合もあります。報道では、希望する薬の処方をしなかったことで、一方的な誹謗中傷を受けたという事例が紹介されていましたが、適切な医療を行っているにも拘わらず、いわれのない非難にさらされてしまう、これは、真面目に業務を行っている医療機関からすると、到底許しがたい事態であるといえます。

また、最大の問題点として、「ビジネスプロフィール」への登録が事実上強制されるという点が挙げられています。これは、要するに、適切な対応を求めようとすれば、グーグルと契約を締結しなければならない、契約の締結が強制される、これが問題だと主張されています。しかも、契約には、種々の免責にかかわる条項が入れられています。

違法な行為に対する対応を求めるのに、特定の契約を締結することが強制される、契約しなければ対応されない、これは、見方によっては、違法行為を止めて欲しければ「俺のいうことを聞け」と行っているのと同じともいえます。

それがシステム上構築されているとすれば、それを是正する義務は認められてしかるべきであると思います。

自分たちは場を提供しているだけだと言いながら、広告収入によって莫大な利益を上げている、自らに対する責任が追及されると、今度は、自分たちだけの問題ではないと、他人事のように、言い逃れをする、そんな対応は、決してフェアではないし、正義ではありません。

プラットフォーム事業者には、自らの問題として、自らの責任として、現状の問題点を是正していただきたいと思っています。