『離婚』男性にとっての理不尽


弁護士の最所です。

22日に配信された産経新聞に、「<独自>子供の引き渡し、強制執行「成功」は3割 最高裁」の記事が掲載されています。

この記事では、『法の実効性』の観点についての考察がなされています。

そこで、『法の実効性』を、別の角度から捉えて、男性側、女性側の立場から、それぞれ、現状の問題点について考えてみたいと思います。

親権の問題は、切実な問題です。一般的には母親が親権を持つという形で合意することが多いのですが、親権の点で合意に至らない場合には、最終的には、裁判所の判断になります。

こどもが未就学児で、かつ、別居後に母親の下で生活しているような場合には、余程、子どもの生活環境が悪い場合でもなければ、母親が親権者と定められるのが一般です。

なお、親権はあくまでも子どもの養育環境の観点から定められますので、親権者を定めるにあたって、離婚に至った原因がどちらにあったか否かとは直接の関係はありません。

離婚に至る経緯には、様々な事情があり、一概には言えませんが、例えば、妻の不貞により婚姻関係が破綻した場合であっても、母親が親権者と定められるケースは、当然ありえます。

夫婦関係が破綻して離婚に至っているケースでは、本音として、相手方に子どもを会わせたくはないという気持ちがあるのが通常です。そのようなケースでは、面会交流を求めても、「子どもが会いたくないと言っている。」「体調が悪い。」などとして、なかなか面会交流に応じようとはしません。

そのような場合、代理人として、確実な履行がなされるよう間接強制ができる内容での調停条項にすることを求めるのですが、一回目の調停でそのような内容の条項が入れられることは、まずありません。

確かに、「間接強制ができる内容」の条項を入れると言うことは、始めから、面会交流が実現できないことを前提とするもので、面会交流自体が自然にできるような環境が築かれることが重要だという理屈は分かります。しかしながら、男性側の代理人の立場としては、こと、面会交流に関しては、子どもの権利だと言いながら、子どもの権利を侵害している母親に対するペナルティが、余りにもなさ過ぎるのではないかというのが、率直な感想です。

もちろん全体として見ればレアなケースかも知れませんが、例えば、妻の浮気によって、婚姻関係が破綻させられたにも拘わらず、親権者が母親とされた、その結果、子どもとも自由に会えないにもかかわらず、養育費の支払いだけさせられる、このようなケースでは、男性側からすると、なんでこんな目に遭わなければならないのか、そういった気持ちになるのは、ある種、当然のことだと思います。

(次回:『離婚』女性にとっての理不尽)