グーグルマップへの「いたずら」


 弁護士の最所です。

 グーグルマップに、でたらめな表示を書き込む「いたずら」がなされていることが報道されています。

 すでに、他の弁護士の先生方が、法的問題について書かれておられますので(清水陽平弁護士:シェアしたくなる法律相談所)、私は、別の観点から、書かせていただきたいと思います。

 法的に問題視するとすれば、グーグルに対する偽計業務妨害の成立が、より直接的だと思います。

 ただ、実際に刑事事件化して、立件しようとすると、被害者に「被害届」を提出してもらうことが、実際上必要になってきます。

 「被害届」の提出は、法律上、捜査機関による捜査・立件に必要な要件とはなっていませんが、実際には、被害者が被害事実を申告していないのに、刑事事件化することは、ちょっとやりづらいのではないかと思います。

 この場合、はたして、グーグルが、「被害届」を出してくるでしょうか。

 グーグルは、公式には、日本法人には、管理権限がないとしているので、「被害届」も、提出するとすれば、米国法人が提出するということになるはずですが、グーグルの対応が気になる所ではあります。

 ところで、グーグルが「被害届」を出してこない場合、「いたずら」された施設の管理者が、今回の「いたずら」によって、業務に支障が出たことを理由に、偽計業務妨害の被害者(あるいは、社会的評価が低下したことを理由に、名誉毀損の被害者)として、「被害届」を出すということは、理論上、考えられます。

 今回、警視庁本部に「サティアン」との記載がなされていたようですので、仮に警察が自身で刑事事件化しようとすれば、これによって、業務に支障が出たとして、施設の管理者である警視総監が、警視庁所在地のある千代田区霞が関二丁目を管轄する麹町警察署の署長宛に「被害届」を出すという形になるのではないでしょうか。

 私が、以前、警察車両を損壊させた件の国選事件を担当した際は、警察車両の管理者である警察署長が、警察署長宛(自分名義で自分宛に)の「被害届」と「告訴状」を提出していました。

 当時、記録を見た際、「被害届」としては、確かにそうなるなぁと、妙に納得した記憶があります。