成果主義を取ったところ、できる社員から辞めていった。人員過剰の人材不足・・・。 こういった話を良く耳にします。
(参考:DAIAMOND online「成果主義の落とし穴 お金で動く社員はお金で去っていく」)
できる社員から辞めていく。この原因はどこにあるのでしょうか。
成果主義を取るのであれば、どのようにして、その「成果」を判断するのか、誰もが納得できるような明確な判断基準を定める必要があります。
誰もが納得できるような明確な基準があって、会社が、適切にその人の働きに見合う報酬を出しているのであれば、できる社員から辞めていくということは、合理的に考えるとないはずです。それでも、辞めてしまう・・・。
これは、そもそも、成果主義の判断基準が誤っていたか、その運用が誤っていたのかもしれません。
また、実は、成果主義とは言いながらも、結局は、給与を引き下げるための方便であっただけなのかもしれません。
或いは、その人の働きに見合う報酬を、会社が支払っていなかった、または、報酬以外に、その人を引きつける魅力が、その会社になかったのかもしれません。
その人にとっての広い意味における「報酬」は、金銭だけではありません。その会社の働きやすさや、他の社員との関係等の事情も、会社に残るか否かの判断には、影響してくるでしょう。
例えば、成績を上げていれば、他の社員の人からも尊敬されますし、仕事をお願いしても、快く引き受けてくれます。そういった環境も成績が優秀な社員を引き留める一要素だと思います。
成果主義が怖いのは、お金になるような仕事を奪い合って、人間関係がギスギスしてくることではないかと思っています。
当然、仕事の中には、お金にはならないけれども、だれかがやらなければいけない仕事もありますし、そのような困難な仕事を引き受けてくれる人が報われなければ、誰もが、無理なスタンドプレーをして、会社自体が、それこそ、ぐちゃぐちゃな状況になってしまうのではないかと思います。
単に目先の収益を上げたことだけを評価しても、組織としてはまとまりません。
よくブラック企業の典型として、「給料が高い」というのが挙げられますが、これなどは、報酬だけが会社の魅力ではないことの一つの表れでしょう。
会社は「金だけじゃないんだよなぁ」というのが、私の考えでもあるので、就職活動をしている学生から相談を受けた際には、「給料は安いけれども、離職率が低い」ところも、選択肢に入れた方が良いよみたいなことを言ったりもしています。
成果主義を取れば、優秀な社員を引き留めることができるというのは、現実とは相当違うのではないでしょうか。