依頼者への「説得」


弁護士の最所です。

裁判所でよく使われる言葉として、「では、先生の方で依頼者を説得してください。」というのがあります。 私ども、弁護士は依頼者の方から事件を受任して、依頼者の方の利益を最大限に考えて活動するのですが、訴訟の経緯によっては、一定のところで和解をした方が良いケースも正直あります。

このような場合には、判決を求める場合のリスク及びメリット、現時点で和解することのメリット及びリスクを詳細に説明をした上で、最終的には依頼者の方に判断してもらうことになります。

ただ、弁護士の中には、何らの説明をすることなく、和解を強く勧めるケースもあり、私自身、「依頼者を説得」と言う言葉は、あまり好きではありません。

私は、裁判所から「依頼者を説得してください。」と言われた場合には、余程のことがない限り「説明いたします」と回答するようにしております。

裁判所が「説得」を求めることには色々な意味がありますが、判決を書きたくないという裁判官の個人的な事情もあり、裁判官の言葉を鵜呑みにしてリスクを判断することは、時として、依頼者の利益を阻害してしまう危険性もあります。

現在の証拠関係、裁判官の性質、控訴になるリスク、相手方の事情などを総合的に考え、自らの意見も踏まえて、依頼者の方に適切な説明をし、理解して頂いた上で、最終的な方針を決定することになります。