・高齢者のご両親をお持ちの方に起こりうる相続トラブル
近年、振込詐欺や悪徳商法など、高齢者を対象にした犯罪が問題となっています。 もっとも、高齢者の財産が危機にさらされるのは、これらの犯罪行為にあってしまった場合だけとは限りません。家族等の身近な人間によって、次の世代に受け継ぐべき大切な財産が脅かされることがあります。
身近な人間によって財産が脅かされることなんてあるのだろうか?と思われる方もいるかもしれません。しかし、現実に、当法律事務所には下記のような相談が頻繁に持ち込まれております。
参考ケース) 父親は既に他界、高齢の母親と弟が同居し、兄は別の場所で妻子と住んでいる。 弟が、母親から預金通帳や実印の管理をまかされているのをいいことに、母親の預金を使い込んだり、母親の実印を勝手に持ち出して、母親名義の土地建物の登記を弟名義に書き換えたりしていた。
上記のような行為は、身内によって秘密裏に行われるので、発見することが大変困難である上に、実際にやられてしまった後では、手遅れになってしまっていることもあります。
したがって、このようなトラブルが起きないよう、事前に予防策を取るのが何よりも大切です。
・事前の予防策-成年後年、任意後見-
上記のようなトラブルを未然に防ぐための予防策として、成年後見という制度があります。 成年後見制度は、法定後見と任意後見に分けられます。
法定後見とは、家庭裁判所に申し立てて行う成年後見制度です。 法定後見の対象となるのは認知症などで判断能力が低下している人です 。 法定後見が開始されると、裁判所から後見人として選ばれた人が、法定後見の対象とされた人の財産を管理しますので、誰かに財産を脅かされる危険はなくなります。
任意後見とは、現時点で法定後見が認められるほどの判断能力の低下がない場合でも、将来判断能力が不十分な状態になった場合に備え、ある程度判断能力があるうちに、あらかじめ自らが選んだ代理人(弁護士等)に、後見事務(本人の生活や、療養看護、その他財産管理等に関する事務)について代理権を与える契約(任意後見契約)を結んでおくというものです(なお、契約締結に際して公正証書を作成することとなります)。
・港国際グループは、法定後見の申立及び任意後見契約の締結にご協力いたします。
港国際グループでは、弁護士による法定後見の申立手続の代理業務、弁護士とお客様との間での任意後見契約締結を承っております。 高齢のご両親の財産について、何か心配なことがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
※民法第7条 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。
弁護士法人港国際グループ溝の口事務所 弁護士 豊田 崇久