弁護士の最所です。
6月21日付の日経新聞朝刊に「未登記の海外ITに罰金 メタやツイッター 政府方針、監督強化」との記事が掲載されています。
外国法人の登記義務については、前回のブログでも記載致しましたが、ようやく政府も本腰を入れてくれたと、期待しております。
とはいえ、登記義務違反に対する罰則は、「百万円以下の過料」(会社法976条1号)です。彼らにとっては、それこそ、「痛くもかゆくもない」程度の金額ですので、これで素直に応じるかというと、率直にいって、疑問がないわけではありません。
むしろ、彼らの立場、「ビジネスの運営は海外で手掛けており、マーケティングなどを担当する日本法人の登記で十分」(上記日経新聞記事より)との主張を貫いて、罰則についても無視するのではないかとも思っています。
そもそも、どうやって執行するのかという問題もあります。
やはり、ここで考えないといけないのは、国から言われたとしても、言うことを聞かない民間企業があるということです。これが、日本企業であれば、政府からの要請や命令を無視するなどということは、全く考えられません。
それは、政府との間に圧倒的な力の差があるためです。
ところが、外国法人の場合、冷静に、ある意味、ドライに、日本政府の要請に応じた場合のメリット、デメリットを天秤にかけて、無視した場合のサンクションが低く、自らの事業に経済的な影響がない、または、応じることに何らの経済的メリットがないと判断した場合には、平気で無視するということも十分にありえます。
要するに、外国法人、特に海外IT大手は、一企業というよりは、「外国政府」に近い立場の存在として考える必要があります。
いうなれば、日本政府も、外交交渉と同様のスタンスで臨まなければなりません。
従わない場合に、いかなるサンクションを課すことができるのか、彼らが経済的に見合わないと判断するだけの実質的なデメリットを課すことができるのか、その手腕が政府に求められています。