多重債務のお客様に対する債務整理の方法としては、①任意整理、②自己破産、③個人再生の方法があるということは前回ご説明いたしました。
今回は、②の自己破産手続についてご説明いたします。
「破産」という言葉をお聞きになると、何かとんでもない手続きが行われるのではないか、犯罪人のような取り扱いを受けるのではないかとのご心配をされる方もいらっしゃるかと思います。
確かに、「破産」という言葉から、非常に重いイメージを抱いてしまうのも致し方ないのかもしれません。
ただ、実際には、破産とは、持っている財産を全て処分して、それでも返済ができない場合に、借金を返済する義務を免除するという手続きを行うだけです(厳密には、破産とは、財産の清算のことを言い、借金を返済する義務を免除することを免責と言って区別しますが、通常破産とは、免責まで含めた意味で使われることの方が多いです。)。
もちろん、免責を受ければ、その人は借金の返済から免れることになりますが、お金を貸している側からすれば、借金の返済を求めることができなくなってしまいますから、慎重な手続きが必要とされます。
また、借金をしてしまった事情について、裁判所から詳しく質問されます(実際には、弁護士が話をお聞きして書面の形で報告することになります。)し、給与明細、通帳、保険、その他の資産についても、正確に報告することが求められます。
その際、虚偽の事実を告げていたりすれば免責が認められないことにもなりかねません。
また、借金の原因がギャンブルや浪費(無駄遣い)と言った場合にも免責が認められない可能性がありますし、一部の債権者のみに対して返済を行った(ここに言う債権者には、親族や友人も含みます。)場合にも免責が認められない可能性があります。
ただ、以上のような事情があった場合でも、裁判所が様々な事情を考慮した上で、免責を許可してもらえる場合もありますので、あきらめないで、まずは、ご相談をして下さい。
破産をした場合のデメリットとしては、特定の職に就くことができない(警備員、保険外交員など)ことや官報に掲載される(ただ、官報を見る人はまずいませんし、このサイトをご覧になっている方も見られたことはないと思います。)こと、原則として7年間は免責を受けることができないなどがあげられますが、これら のデメリットは特定の職に就かれている方以外にとっては、ほとんどデメリットといえるほどのものではありません。
警備員や保険外交員などをされている方には、次回ご説明する個人再生手続きによって、資格制限を受けることなく、借金の整理をすることができますから、あきらめずに、ご相談にいらしてください。