相談者の希望


 弁護士の最所です。

 弁護士は、必ずしも、相談者本人が希望されるとおりの方針で、法律事務を行うかというと、そのようなことはありません。

 例えば、相談者の希望する方針が、違法性が疑われるような方法であったり、相談者自身に不利益が生じるような場合には、そもそも受任自体をお断りしています。

 良くある例として、債務整理の場合を例に説明します。

 債務整理の場合、まずは、負債総額、具体的には、どのような業者からいくらの借入があるのかについて確認します。

 その上で、相談者の職業及び収入から、そもそも、返済が可能か否かについて、客観的な数字をもとに、専門家としての立場から意見を申し上げます。

 法的整理は嫌だ、どうしても、任意整理で対応して欲しい、そのように希望する場合ももちろんあります。

 任意整理による債務整理を行う場合には、基本的に3年以内(36回)での分割返済が可能であることが一つの目安にはなります。当然、中には、3年での長期の分割には応じない業者も存していますので、そのような業者が債権者の中に含まれているか否か、また、そもそも、返済可能性があるのかについても、検討します。

 そして、任意整理が困難であるという場合には、破産手続等の法的整理手続を行わざるを得ない旨、説明しています。

 例えば、負債総額が100万円の場合に、任意整理を行うとした場合、少なくとも、月額3万円程度を家計から返済に回すことができるかが一つの基準になります。これが、200万円であれば6万円、300万円であれば9万円が目安です。

 返済額については、最大でも月収の3分の1以内に収まることが大前提で、他の支出との関係(削ることができない支出等)を併せて考慮し、3年間という長期に渡る返済が可能かどうかについて検討した上で、それ自体が難しいようであれば、法的整理手続をお勧めすることになります。

 場合によっては、法的整理手続以外の方法はないと断言することもあります。

 法的整理の場合、一部債権者への弁済等は、免責不許可事由となりますので、一部債権者を除外した形での債務整理はできないと明言します。

 中には、これまでの人間関係を崩したくないという理由で、○○すれば大丈夫か、○○という方法はどうかなどと、弁護士から言質を取ろうとする相談者もいますが、私は、無理なものは無理と明確に申し上げ、余りにも、酷い場合には、相談を打ち切ってお帰り頂いています。

 弁護士は、相談者の希望するとおりの方針で、事件を処理することはしません。あくまでも、依頼者の正当な利益を擁護する立場から、最良の方法を選択し提案した上で、相談者が納得する方法で進めます。

 その意味では、相談者からすると、「融通が利かない」「頑固な」存在なのだろうと思います。