(事例・離婚)養育費をきちんと支払ってもらうには?


離婚を考えていますが、離婚後に養育費を相手が払い続けてくれるのか不安です。 きちんと支払いをしてもらうためにはどのようにすれば良いのでしょうか。

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離婚の際に子供がいるからといって必ずもらえるわけではない養育費

近年では3割の夫婦が離婚をしているとの統計が出ているほど、離婚をする夫婦は増えています。

しかしながら離婚を原因とする母子家庭のうち、父親(元夫)から養育費を受け取っているのはわずか19.7%しかいません。
つまり約8割は養育費を払ってもらっていないのです。

また、離婚する際に、
「毎月●万円を養育費として払うから」などと口約束で取り決めても
支払いが滞った場合に,契約書がなければ言った言わないの話になり本当にそのような約束をしていたかどうかの立証に苦労する可能性があります。

「夫は子供をかわいがっていたので、約束はきちんと守ってくれると思うから、契約書まで作成しなくても」
と思われる方もいるかもしれませんが、離婚後に相手の生活環境が変われば、相手の支払い先の優先順位も変わってきますので支払いが滞ることも珍しいことではありません。

養育費をきちんと支払ってもらうために

離婚の際に、養育費を含め財産分与や慰謝料等の有無や金額等についての取り決めをして、少なくとも書面に残しておくことをお勧めします。

書面を公正証書化しておけば、将来支払いが滞った場合に調停や裁判をせずに給与や預金に対し強制執行することによって養育費を回収することができます。

公正証書にしていない場合には、調停や裁判によって、調停調書、判決書を取得すれば、強制執行によって養育費を回収することができます。

強制執行できる権利を証明する公的文書をまとめると以下の通りです。

①公正証書
 公証役場で作成してもらえる公的書面
②調停調書
 離婚調停が成立した場合に調停委員会が作成する書面
③審判書
 調停で話がまとまらない場合に家事審判官が双方の事情を考慮して作成する書面
④判決書
 離婚訴訟で養育費について判断した場合に裁判官が作成する書面

お互いに合意の上、公証役場で公正証書として離婚協議書を作成してもらいます。(①)

離婚協議書とは

離婚時の話し合いでお互いに合意した内容を記載した書面のことです。
離婚後、内容について争いが起きた場合に証拠として用いられます。

離婚協議書に記載する内容は、「親権・養育費・慰謝料・財産分与・年金分割等」です。
どちらか一方が合意できない場合は、家庭裁判所で調停を申し立て、調停委員会が双方の言い分を聞き、双方が納得して妥当な解決ができるようサポートしてくれます(②)。
離婚調停の中で、あわせて養育費の取り決めをすることができます。
調停でも合意ができない場合は、審判に移行し、家事審判官が、双方の事情を考慮して養育費の額を決めます(③)。
また、離婚訴訟でも同様に、離婚訴訟とあわせて養育費についての判断を求めることができます(④)

離婚にはどうしても感情が絡んでくることが多くなるため、
「少しでも早く別れたい」と、離婚協議書を交わす前に離婚を急ぐ場合がありますが離婚後、子供を育てていくためにも、養育費をしっかりと払ってもらえるように離婚前にきちんと法的効力のある離婚協議書を作成しておくことをおすすめします。

もっとも、離婚後に養育費を取り決めることも可能で養育費分担の調停、審判を利用することも可能です。

とはいえ、離婚協議書は離婚後でも作成は可能ですが、いったん離婚すると、相手が非協力的になることが考えられたり、また一度、離婚届けを提出して他人になってしまうと、相手の戸籍や収入の把握が難しくなるので できるだけ離婚前に作成する方が良いでしょう。

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