弁護士の池田雄一郎です。
先日(平成25年4月19日)、兵庫県不動産鑑定士協会から依頼をいただき、同会の研修会で講演をさせていただきました。
テーマは「不動産鑑定の訴訟手続における役割」です。
訴訟手続の中でも、①借地借家事件における不動産鑑定評価書、②不動産鑑定評価書と文書提出義務、③不動産鑑定士の鑑定結果と第三者に対する責任をメインに話をさせていただきました。
①に関しては、借地借家法と民法の関係、正当事由を補完する立退料の問題等をお話しし、立退料のお話の中で、裁判上、不動産鑑定士が鑑定した鑑定評価額がどのように扱われているか、複数の裁判例を挙げながら説明しました(大阪高判昭和58年9月30日、東京高判平成15年1月16日等)。
②に関しては、不動産鑑定評価書の作成ソースを記載した文書の提出を拒むことができるのか問題を取り上げました(東京地判平成22年5月11日)。
③に関しては、不動産鑑定士の鑑定に基づき価格決定された抵当証券の購入者が、鑑定方法等が不相当であったため損害を被ったとして、不動産鑑定士に対し損害賠償請求した事案を取り上げました(いわゆる大和都市管財事件 東京高判平成18年7月19日等)。
もっとも、③については、講演時間内(1時間30分)にお話しすることがほとんどできませんしたが。
当日は、非常に多忙な不動産鑑定士の先生方に多数ご参加いただき、先生方は、私の話に熱心に耳を傾けてくださいました。
講演終了後には懇親会も準備していただき、懇親会の席で多数の不動産鑑定士の先生方と交流を深めることができました。
不動産は資産価値が高いため、不動産を巡るトラブルは数々あります。
不動産トラブルの際に、弁護士と不動産鑑定士がタッグを組み、最良の解決方法を導き出せればよいと感じます。
私の公演が、弁護士と不動産鑑定士の「架け橋」となる機会となれば大変うれしく思います。