当事務所の玄君先、小澤幹人が富士通元社長解任問題で記者会見を行いました


富士通元社長・野副州旦氏会見】(1)

富士通の元社長で辞任の取り消しを求めている野副州旦(のぞえ・くにあき)氏側は22日、都内で会見し、富士通が同氏に相談役として10年間で総額約2億7000万円の報酬を約束していたことについて、「結果的に口止め料としての意味を持っていたと思う」と述べ、解任を公表しないことへの対価だったとの認識を示した。また、会見では、事実上の解任が決まった昨年9月25日の会議の様子を録音したテープが公開された。野副氏との一問一答は以下の通り。

《会見は午後4時半からスタート。冒頭、野副氏が「改めて考えを述べたい」とあいさつ。その後、弁護士が富士通に送付する公開質問状のポイントを20分ほど説明。この間、野副氏は顔を下に向け、ときおり目をつぶりながらじっと弁護士の説明を聞いていた》

--顧問契約を結んだのか

野副氏「会社の発展に違う形でかかわるということを前提にした考え方だった。そのときは慰謝料、口止め料とは思っていなかった。というより、そのときは(内容を)飲み込む余裕はなかった。後からかなり制約があると感じた。わたしと会社との考え方の解離がかなりあった。結果的には口止め料という意味を持ってたと思う」

富士通元社長・野副州旦氏会見】(2)

《テープの再生が続く》

山室監査役「もうひとつ聞きます。金に困ったときはA氏が用意してくれる、と言ったことはありませんか」

野副氏「それは個人の金ということですか。会社の金ですか」

山室監査役「わかりません」

野副氏「いや、それはないと思いますが」

山室監査役「A氏に経営上のアドバイスを求めたり、相談したりは」

野副氏 「ありません」

山室監査役 「ニフティの件は違うのか」

野副氏「ニフティの件でA氏のアドバイスをもらったことはある。A氏の方からTOBをかけるとき、相当な資金がいるということで、そのお金の出元については極めてあいまいなところがあったので、これについては、富士通は受けることができないと明確に言った」

山室監査役「A氏に経営会議あるいは取締役会の内容、事業の状況など話したことはありませんか」

野副氏「経営会議の中身についてはありません。むしろ向こうから、シーメンスの問題などの質問はあった。AさんのパートナーであるB氏から人を紹介してくれないかという要請はあった」

山室監査役「A氏とB氏の関係を知っていますか」

富士通元社長・野副州旦氏会見】(3)

《解任劇の再生テープが続く》

秋草相談役「残念です。山室さん、大浦さんがおっしゃったように、主観的な問題はありますが、客観的に非常に今、危ない状態にあります。わが社はにらまれています。仕手株の対象になりつつあり、その背後にはこういった会社がいるのではないかと。そういう意味で最悪、司法の手が入る可能性も大きい。上場廃止とならざるを得ないと、それまで覚悟しなければならないと思う。野副さんには、非常にがんばっていただいて、ここまでやってきて、残念だが、やむを得ないと思う」

野副氏「質問していいですか。私自身の行動が、そういったリスクを持っていたということを事前に教えていただくわけにはいかなかったのでしょうか」

山室監査役「2月のニフティの問題のときに、かなり強い警告があったのでは」

秋草相談役「●●君とか、そういう人たちは、この件、ファンド●●はいかにあやしいところだと重々承知している」

野副氏「そうですか」

秋草相談役「周りのスタッフが野副さんに対する本心を完全に排除している。非常に残念です。日ごろ言っているのに、全然なされず残念です」

富士通元社長・野副州旦氏会見】(4完)

《テープの再生が終わり、質疑応答に戻る》

--おとしめられたという思いは強いか

野副氏「反社会勢力という言葉が存在しない。この言葉自体でピンとくることが、まったくない。疑いがあるとしても、社長である経営トップにそのような情報が上がってこなかったことに問題がある。(B氏が反社会的勢力がどうかは)専門家の人に委ねるなど猶予期間が必要だった。反社会的勢力かどうかの決断はもっと慎重になるべきだ」

--自白を迫られたような心理状況か

野副氏「自白するほど汚れたものは持っていない」

弁護士「(ニフティに関する)この件のチームが秋草相談役から何か指示を受けていたのではないか」

--秋草氏にはめられたのでは

野副氏「それはわかりませんね。ガバナンスが効いていない中で、こういうことが起こったと思っている」

《記者会見は予定していた2時間を過ぎ、午後6時50分ごろにようやく終了。野副氏は最後に弁護士とともに一礼。その後、旧知の記者とひとことふたこと言葉を交わし、会場をあとにした。表情は普段通り落ち着いた様子で、終始、怒りをあらわするようなことなもなかった》