検察庁法改正案の問題点


弁護士の最所です。

検察官の定年延長を規定した検察庁法改正案について、ネット上で賛否両論の意見が出されています。

ただ、何が問題だとして反対しているのか、反対している人も、単に安倍さんが嫌いだとか、政権が嫌いだとか、その観点から反対しているようにも思えますし、賛成している人(どちらかというと反対している意見に反対している人なのかもしれませんが)も、野党が嫌いという点から賛成しているようにも見えます。

この問題については、甲南大学法科大学院園田寿教授が非常に分かりやすく解説されているので、是非、ご一読頂きたいと思います(特に、図と、問題点の解説の部分は是非。)。

「超難解な〈検察庁法改正法案〉の条文を分かりやすく読み解く」

検察庁法改正案が問題とされているのは、検察庁の幹部に対して、「内閣の判断による定年延長と役職延長を認める」ことができるようになることから「ときの政権に都合のよい者についてだけ定年延長と役職延長を認めることになり、検察への政治介入を強めることになるのではないのか」という点です。

この点が問題ではないかと指摘されていることを前提として、

 ・ 独立性が保障されなければならない検察官に対する政治的介入を認めることは不当だ。

あるいは、

 ・ 検察官といえども公務員である。選挙によって国民の信託を受けた政権が、人材の適正を判断して、適正な人材が、できる限り長く職務を全うできるようにすることは当然だし必要だ。

という点から、議論が進むのは非常に良いことだと思うのですが、現状はどうも違うように思えてなりません。

好き嫌いとイメージで、法案の是非が論じられることは、非常に怖いと思います。