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5 すかいらーくの対応が問題であると主張している理由


Aさんとすかいらーくの事実関係に関する主張は、以下のとおりです。

 

すかいらーく側の主張

Aさんの主張

 

Aさんが、すかいらーくの従業員に対して、「異物」を渡せなかったのは、エリアマネージャーからの提案が、それこそ名刺に「預かりました。マネージャー」と記載する程度の「文書」を差し入れようとするレベルのものであって、Aさんが会社としての責任を明示する意味で求めた、代表者名が明記された異物の取り扱いに関する書面を交付するというものとは極めてかけ離れたものであったためです。

 

そのような対応がくり返されたことから、さすがにAさんは憤怒せずにはいられませんでした。Aさんは、それまで散々たらい回しにされたこともあって、すかいらーくが、適切に会社として対応しているのかということについても重大な疑問を抱かざるを得ない中で、唯一の重要な証拠物である「異物」を預けることができなかったのは、むしろ当然ではないでしょうか。

 

また、すかいらーくは、大阪で発生した事件とは、無関係であると主張していますが、すかいらーくは、大阪の事件の後で、再発防止を誓っているのですから、事件後には、少なくとも会社内部での再発防止策を検討しているはずです。

 

そうであれば、すかいらーく側の今回の対応が、会社内部における再発防止策に沿ったものであるか否か、また、そもそも再発防止策が構築されていたのか否かについての説明は、会社の義務違反の有無を判断する上でも、極めて重要なものになります。

 

不祥事をおこした企業が、再発防止策を謳う際には、どのような再発防止策を講じたのかについては、一般消費者に対する信頼を回復する為にも、広く公開するのが通常のことであると思います。

 

その意味でも、本来公開されてしかるべき情報についての回答を求められたことに対し、何故「苦慮せざるを得ない」のか、当職も、正直言って、理解に苦しみます。

 

そういった点からすると、Aさんが、すかいらーくが事故の教訓を生かすことなく、なんらの再発防止策を講じていないのではないかとの疑念を抱いたことは、むしろ当然と言えるのではないでしょうか。

 

すかいらーくは、「本件についての原因究明のために可能な対応を提示等していた」と言っていますが、果たして、一体どのような提示を行ったと言うのでしょうか。Aさんはすかいらーくの求めに応じて、異物の写真等の情報、診療情報を提供し、さらには、同意書の提出も行っていますが、少なくとも、平成28年1月12日の第2回口頭弁論期日の段階までは、Aさんに対して、何らの具体的な回答は一切なされていなかったのです。

 

平成28年1月12日の第2回口頭弁論の期日において、裁判所の提案にもとづいて、すかいらーくは、自身において必要と考える調査を、初めて行ってくれました(「原告の体内より摘出された異物(以下「本件異物」という。)については、形状等から、鍋等の調理器具の焦げ付き等を除去する際に使用する清掃用具の可能性があるものとされているところ(甲11)、被告の運営する○○においては、鍋等の調理器具の焦げ付き等を除去する清掃用具としては、○○株式会社製「○○○たわし厨房用」(乙1の写真6・7、以下「本件○○たわし」という。)を使用している。また、本件異物の外観等を踏まえ、被告において○○店において使用する厨房機器の清掃用具をあらためて確認したが、本件○○たわし以外に本件異物と外観が類似する清掃用具はなかった。」として、本件○○たわしと本件異物との成分を含めた調査を行ってくれています。)

 

調査を行ってくれたことについては、当職も評価させて頂くところではありますが、それ以外に当職が求めた釈明事項(※)については、平成28年4月6日付準備書面(2)において、「原告は、被告に対し、被告店舗で使用している金属製品の品名及び形式番号等を開示するよう求めているが、上述のとおり、本件○○たわし以外に異物と外観が近似する製品がないことは被告において確認しており、その余の金属製品の品名等を開示すべき必要性はない。また、付言すれば、上記1のとおり、原告が異物の混入について何らの具体的な立証等も行っていないにもかかわらず、被告に対し、概括的かつ模索的な開示を求めること自体が不当なものである。」と主張し、釈明に応じないとの姿勢を明確にしています。

 

そして、さらに、「原告が訴状第2の6で主張するような義務がそもそも認められないこと、本件について被告が被告の立場において誠実に対応してきたことは被告答弁書のとおりである。また、原告の事故経緯等に関する主張は、被告店舗で提供した食事に異物が混入したことを一方的に前提とし、被告を非難するものと言わざるを得ない。いずれにしても、本件における原告の請求は、被告店舗で提供した食事に異物が混入していることを前提にするものであり、上記第1のとおり、かかる事実は認められない以上、事後経緯等についての審理を行うまでもなく、原告の請求は直ちに棄却されるべきである。」と主張しています。

 

Aさんは、当初から、「原因が被告にあるとまでは直ちに断定できないものの、被告の経営する「○○」での食事以外に、混入する可能性のある時期に食事をしていなかったことから、原因について調査することの申し入れを行ってい」(訴状「第2」4)ました。ただ、その後のすかいらーくの対応が、Aさんをあたかもクレーマー扱いするような対応であったことから、そのような、すかいらーく側の対応が違法であると主張して、損害賠償の請求を求めているのです。

 

すかいらーくの主張は、「店舗で提供した食事に異物が混入していること」の事実が認められない(立証がなされない限り)は、どのような対応をしても違法とは言えないのだから、「事後経緯等についての審理を行うまでもなく、原告の請求は直ちに棄却されるべきである。」と述べていることになります。

 

はたして、そのような対応が、「少なくとも、日本において、国内に2974店舗、海外を含む3013店舗を有し、多くの人々に対して、飲食物を提供している外食チェーン店の対応」(訴状「第2」5)として、相応しいと言えるのでしょうか。

 

ディスカバリー制度が採用されていない日本の裁判制度の中で、外食チェーン店の責任を追及することが極めて困難であることを承知しつつも、Aさんは、敢えて、本件訴訟を提起したのです。

 

Aさんは、当初から、すかいらーくの責任であると断定した訳ではなく、金属片の混入が、すかいらーくの店舗での食事の際に生じたものとまでは、直ちに断定はできないものの、同店での食事以外に、混入する可能性のある時期(腹痛が生じた時期)に、食事をしていなかったことから、すかいらーくの側で調査するよう申し入れを行った際の対応、そのものを問題視していたのです。

 

もちろん、訴訟を提起した訳ですから、主張を行うに際しては、すかいらーく店舗で異物が混入したことを前提とした主張は行っています。ただ、これは、訴訟の経緯の中で、すかいらーくが釈明に応じて、一定程度の証拠の開示を行ってくれることを「期待」して行ったという側面があることは、否定は致しません。

 

しかしながら、現実問題として、すかいらーくが、釈明に応じないとの姿勢を貫き、立証責任の面を前面に押し出してくるのであれば、ディスカバリー制度が採用されていない以上、裁判所による厳しい判断がなされる可能性は可能性として、受け入れざるを得ないと考えてはいます。

 

ただ、本当にそのような結論でよいのでしょうか。

 

「少なくとも、日本において、国内に2974店舗、海外を含む3013店舗を有し、多くの人々に対して、飲食物を提供している外食チェーン店の対応」(訴状「第2」5)として、現在の訴訟におけるすかいらーく側の対応が、妥当なものと言えるでしょうか。

 

はなはだ疑問であると言わざるを得ません。

 

当初より、本件「異物」は、磁石にくっつくとの説明をしていたのですが、上記○○たわしは、磁石につかない高分子素材で出来ており、成分を確認するまでもなく、同一性が認められないものでした。それ故、店舗で使用している金属製品の品名及び形式番号等を開示するよう求めていたのですが、それについては、回答する必要がないとしています。

 

うがった見方をすれば、初めから違うとわかっていたものについて、成分調査を行ったとの実績を作りたかっただけなのではないかとすら思えます。

 

ともかく、Aさんが、訴訟を提起したのは、真相究明を図りたいとの思いからでした(もちろん、すかいらーく側からクレーマー扱いされたとの思いから、憤りを感じたということはあります。)。

 

しかしながら、本件対応から、真相究明を図ることは到底不可能だと思わざるを得ません。

 

Aさんは、様々な可能性を考えています。食したものが、「白玉ぜんざい」であったことから、ひょっとしたら、缶詰の削りカス、または、鉄板の削りカスではないかとも、思っております。インターネット上で、「金属片 混入」で検索すると、今回の異物と同様の棒状の形状のものが、かなり、表示されるのですが、未だ、特定はできない状態です。

 

マクドナルドの川口市の店舗で出てきた金属片と似ているようにも思いますし、針金状のものにも思えます。少なくとも、報道された各社は、原因究明についての努力を行っているのですが、すかいらーくの対応をみると、本当にそれで十分なのかと言わざるを得ません。

(参考)食品から金属片が発見されたとして報道されたものの一例。

http://www.news24.jp/articles/2015/01/08/06266759.html

http://www.sanyonews.jp/article/331943/1/

http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/206020

https://www.city.niigata.lg.jp/shisei/koho/houdou/pressrelease2705.files/150515_2.pdf

https://www.oita-press.co.jp/1010000000/2015/05/26/005052897

 

(本件)異物(磁石に引っ付きます。)

※ 情報をお持ちの方は、下記のメールアドレスまでお願いいたします。

(申し訳ございませんが、頂いたメールにつきましては、個別にご返信致しかねますので、予め、ご理解頂きますようお願いいたします。)

y.saisho@minatokokusai.jp

1 すかいらーく訴訟の経緯(異物混入の疑い)

2 すかいらーくの答弁書に対する反論

3 すかいらーく側に調査を求めた際の具体的なやりとり(すかいらーくの主張)

4 すかいらーく側に調査を求めた際の具体的なやりとり(Aさんの主張)

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この記事は弁護士・スタッフの個人的な意見や見解であり、当弁護士法人を代表するものではありません。

        

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