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2 すかいらーくの答弁書に対する反論


1 因果関係の立証の点

(1) すかいらーく側の主張の要旨

すかいらーくは、(Aさんの請求は、)「店舗において提供した食事に、原告(Aさん)より摘出された金属片が混入していたことを前提とするものと思われる。」「請求の当否を審理するにあたっては、上記の因果関係が認められることが前提となるところ、原告(Aさん)は、本件訴訟前においてもかかる点について、合理的な根拠等を提示することもなく、また、訴状においても・・・具体的な主張、立証は全くなされていない。」「原告(Aさん)として、被告(すかいらーく)に対する請求を維持するのであれば、因果関係について具体的に主張、立証することが必要である。」と主張し、「原告(Aさん)に法律家たる弁護士が代理人として受任している以上、本来であれば、原告(Aさん)にて因果関係の立証をすべきものとなることは至極当然のことであって、これを理由に、被告(すかいらーく)が責任を免れようとしているかのような主張をされること自体が被告としては遺憾である。」と主張しています。

すかいらーくの主張を端的にまとめると、Aさんの主張が認められる為には、因果関係について具体的に立証されることが必要であるが、因果関係の立証を求めたことについて、すかいらーくが責任を免れようとしていると言われること自体、遺憾であると述べています。

(2)Aさん側の反論

これに対し、当職は、以下のとおり、反論いたしました。

原告(Aさん)が指摘しているのは、被告(すかいらーく)が立証責任に関する主張を行っている点などではなく、被告(すかいらーく)が、本来広く一般消費者に対し飲食物を提供する企業であるにも拘わらず、食の安全に対しては特に注視すべき立場にありながらも、一般消費者が期待するレベルの安全確保に関する義務を履行しようとしない点にある。広く一般消費者に対し飲食物を提供する企業が、立証責任の問題を前面に押し出し、訴訟戦略を重視した上で、原因究明に協力しないという姿勢を示すのであれば、原告(Aさん)は被告(すかいらーく)を、食の安全確保よりも、自らの責任回避に重点をおいた企業であると評価するだけのことである。

原告(Aさん)は、被告(すかいらーく)の本音として、「訴訟になっても、立証責任を負うのは原告の側なのであるから、立証されない限りは、責任を問われる筋合いはないし、自らが不利益となりかねない成分分析を行う考えがないとの意向を明らかにした」のではないのかという点を指摘しているだけである。仮に、この指摘が誤っているというのであれば、速やかに反論して頂きたい。反論されないのであれば、原告(Aさん)としては、被告(すかいらーく)の本音が上記指摘にあると判断するだけのことである。

2 すかいらーくの義務違反に関する点

(1)すかいらーく側の主張の要旨

すかいらーくは、「被告は、食の安全を大前提に、法的責任はもとより企業の社会的責任の見地からも、個々の事例について被告(すかいらーく)として適切な対応を講じるべく努めているものではあるが、原告の上記主張(※「一般消費者に対して、広く食品を提供する企業であれば、異物混入の可能性を指摘された時点で、速やかに異物混入の可能性について、調査し、再発防止に務めなければならない条理上の義務を負っている」「異物混入の可能性を具体的に指摘した者に対しては、上記義務に加え、その申し入れに対し、会社として、しかるべき立場の者が、真摯に対応し、原因物質の特定の為に、「異物」が必要であるというのであれば、借り受けるにあたって必要な書面を交わす等、貸し出す者に疑念を抱かせることがないよう適切に配慮すべき義務を負っている」)は、原告(Aさん)独自の見解と言わざるを得ず、認められる余地はない。」「原告(Aさん)の主張が非現実的かつ不合理なものであることは明らかであり、企業の健全な事業活動を阻害し、却って消費者に不利益を生じさせかねないものと考えられるところである。」と主張しています。

すかいらーくの主張をまとめると、異物混入の可能性を指摘された時点で、速やかに異物混入の可能性について、調査し、再発防止に努めなければならない条理上の義務なるものは存在しない、仮に、Aさんの主張するような義務が認められるとすれば、企業の健全な事業活動を阻害し、消費者に不利益を生じさせかねないと、述べていることになります。

(2)Aさん側の反論

これに対し、当職は、次のとおり、反論致しました。

被告(すかいらーく)は、「食の安全を大前提に、法的責任はもとより企業の社会的責任の見地からも、個々の事例について被告として適切な対応を講じるべく務めているものである」などと主張するが、今回のケースにおいて、一体被告(すかいらーく)は何をしたと言うのであろうか。

そもそも、原告訴訟代理人が、被告(すかいらーく)に対し、「○○店において使用されている金属ブラシ及び網状の金属品名及び形式番号についてご開示頂きますようお願いいたします。」(甲9号証4頁)と依頼したことに対し、「異物混入の原因となった物を特定するにあたり、闇雲に店内を探すことは非効率であるとも考えております。ご協力頂けるのであれば、貴職で保管されております金属片の情報(写真等)をご提供頂きたくお願い申し上げます。」(甲10号証)との回答がなされたことから、原告は、金属片の情報(写真等)及び診療記録の提供を行った(甲11号証)。

さらに、原告(Aさん)は被告(すかいらーく)の求め(甲12号証)に応じて、医療調査にも協力しているが(甲15号証)、今に至るまで、被告(すかいらーく)は原告(Aさん)の求めには一切応じていないのである。

被告(すかいらーく)が「適切な対応」を講じたというのであれば、まずは、その内容について明らかにしていただきたい。

また、被告(すかいらーく)は「合理的根拠の有無等も一切問わず調査等を行うことが法的に義務づけられ」るなどと主張するが、今回のケースでは、原告(Aさん)は、経緯及び必要な資料等について提供した上で、調査を求めているのであるから、少なくとも「合理的根拠」がない事案ではない。被告(すかいらーく)の主張は、その主張の前提を欠くものであって、極めて不当である。

以上の点が、すかいらーくの答弁書に対する、主要な反論になります。

※ 主張の引用部分に、説明の為、( )書き部分を加筆している部分があります。

1 すかいらーく訴訟の経緯(異物混入の疑い) 

2 すかいらーくの答弁書に対する反論

3 すかいらーく側に調査を求めた際の具体的なやりとり(すかいらーくの主張)

4 すかいらーく側に調査を求めた際の具体的なやりとり(Aさんの主張)

5 すかいらーくの対応が問題であると主張している理由

この記事は弁護士・スタッフの個人的な意見や見解であり、当弁護士法人を代表するものではありません。

        

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