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株式会社すかいらーくに対する訴訟提起(異物混入の疑い及びその後の対応)


当職は、埼玉県在住のAさんを代理して、株式会社すかいらーく(代表取締役社長 谷真)に対し、損害賠償請求を求める訴訟を提起いたしました。訴訟に至った経緯は、以下の通りです。

第1回弁論期日

平成27年11月18日(水) 午後1時10分

東京地方裁判所立川支部 407号法廷

事実経過

1 「夢庵」での食事の提供

Aさんは、平成26年11月26日午後9時30分頃、すかいらーくが運営する夢庵大磯店において、チゲ鍋セット及び白玉ぜんざいを注文し飲食を行いました。

2 激しい腹痛と開腹手術

(1)ところが、Aさんの飲食後、約1時間30分が経過した、同日午後11時時点で、Aさんは、その右脇腹に鈍痛を感じるようになり、その後も、鈍痛が続くとともに、その痛みは徐々に増していきました。

Aさんは、その後の激痛への不安もあったことから、当時所持していた痛み止めの座薬を投与したところ、暫くは、痛みが緩和されましたが、午前3時30分ころから、再び激痛に襲われてしまいました。 Aさんは、当時の激痛は、20分程度で治まったことや、痛み止めの薬さえあれば乗り越えられるだろうと考え、直ぐに病院へは行かず、痛み止めの薬を服用のうえ、当日は就寝致しました。

(2)翌27日は、Aさんの業務が極めて多忙であったことや、体調が優れず激痛による嘔吐への不安もあったなどの事情から、Aさんは、食事を取ることもないままに過ごしていました。Aさんが、食べ物を口にしたのは、午後8時頃、家族との夕食の時に、多少の食べ物を口にした程度と、午前1時頃に食パンを食べた程度でした。 ところが、28日の午前3時30分ころから、Aさんは、再度、激痛にみまわれ、救急車で、B病院へ緊急搬送されることとなりました。搬送先のB病院で検査を受けたものの、当時の検査では痛みの原因が判然としなかったことから、同病院で薬の処方を受け、Aさんは、処方された薬で痛みを我慢し続けました。

(3)しかしながら、平成26年12月10日、午前5時に生じた激痛の為、Aさんが受診を予定していたC病院の救急外来を午前8時に受診したところ、ここでも原因不明との診断がなされました。 ところが、帰宅後の午後4時頃、再度の激痛が生じたことから、C病院に救急搬送されることとなりました。このときも、原因は不明であるものの、痛み止めの薬の処方を受け、その後も、薬によって痛みを抑えつつ、同月17日、18日にそれぞれ、超音波検査、内視鏡検査を受けたものの、原因が判明することはありませんでした。

(4)平成27年1月7日に、MRI検査を受けたところ、腹部に金属が存在していることが疑われ、さらなる検査によって、針状の金属片が存在していることが明らかとなりました。Aさんに対する担当医の説明では、口から摂取したと思われる金属片が消化器官を貫通し、膵臓に突き刺さっている状態で、生命に危険が生じる状態であるということでした(写真1及び2参照)。そのため、手術による摘出を早急に行う必要から、緊急入院を要するとの診断を受け、平成27年1月15日、約3時間の手術によって、金属片が摘出されました(写真3参照)。Aさんは、この手術を行うために、平成27年1月12日から同年1月25日に退院するまで、合計14日間の入院を余儀なくされるに至りました。

以上が、事実経過です。Aさんとしては、当日は仕事が多忙で朝から一切食事はとっておらず、夢庵での食事をして以降、いわゆる「消化に良いもの」しか一切口にしていないなどの事情から、摘出された金属片は、夢庵での食事の際に、口から摂取したものではないかと考えています。

(写真1)

 

画像1

今回訴訟の提起に至った事情は、株式会社すかいらーくの対応によります。

Aさんは、金属片の混入が、夢庵での食事の際に生じたものとまでは、直ちに断定はできないものの、夢庵での食事以外に、混入する可能性のある時期(腹痛が生じた時期)に、食事をしていなかったことから、すかいらーくの側で調査するよう、再三申し入れを行っていました。

(写真2)

画像2

ところが、いずれの担当者も、真摯に対応するどころか、あたかもAさんが「クレーマー」であるかのような対応をされ続けられました。

特に、X氏とのやり取りでは、極めて重要な証拠であるはずの金属片に関し、何らの確実な証拠を保全する措置を行う事も無く、ただ一方的に、当該金属片の提出を求められるという対応を受けたのです。

(写真3)

金属片

すかいらーく側は、Aさんの提案による金属片を提出するにあたっての誓約事項等を定めることについても拒絶し、さらに、信頼のおける中立な専門機関による、当該金属片の成分分析を、費用を折半した上で行うという申し入れまでも、拒絶しています。

なお、Aさんとすかいらーく側とのやり取りについては、事実関係に争いがあり、すかいらーく側は、「金属片の返還を約束する文書を差し入れることなども提案したが、原告は承諾せず、被告にて異物の調査を実施することを拒絶した」と主張しています。

当時のやりとりは、すかいらーく側とAさんとのやり取りですので、当職としては、Aさんの主張を信じる以外にないのですが、仮に、すかいらーく側が録音等の証拠を有しているのであれば、裁判上の証拠として速やかに提出していただきたいと思っております。仮に、すかいらーく側の主張するような発言をAさんが行っていたとしても、ここに至るまでの経緯を考えれば、Aさんのみを責めることはできないはずです。

(※やりとりの状況については、すかいらーく側との間に、事実関係に関する争いがあります。すかいらーく側は、答弁書で『被告従業員は原告に対し、被告にて異物の調査を行うことを提案したが、原告はこれを断り、また、被告従業員から物の詳しい形状を聞いたものの、これに対しても原告から詳細な説明はなされなかった。また、同年2月23日には、被告従業員が原告の自宅に訪問して面談し、その際に、異物(金属片)を見せて欲しいと依頼したものの、原告からは「今は見せられない」と断られた。そして、同年3月1日に、被告従業員より原告に電話連絡をし、あらためて、被告にて異物の調査を実施したいと提案したところ、原告は怒りだし、「金属片を出す前に、会社の社長、役員などが今回の件を受け止めてどのような対応するのかを直接来ないまでも、電話連絡するか書面で提出するべきである」、「ツィッター、メディア、お店で怒鳴るなどしたらお宅は大変なことになりますよ」、「今後すかいらーくとしての対応次第では、まず、金属片の写真などは見せても良い」、「金属片は唯一の証拠のためそう簡単には預けられない」などと述べた。これに対し、被告従業員は、金属片の返還を約束する文書を差し入れることなども提案したが、原告は承諾せず、被告にて異物の調査を実施することを拒絶した。そして、原告より「すかいらーくとしてもこのような対応ならば、出るところに出る」「今後は第三者に委ねることも視野に入れてまた連絡する」などと伝えられ、電話を終了した。』と記載されています。)

当職受任後のすかいらーく側とのやり取りについては、要旨以下のとおりです(事実関係については概ね争いはありません。)。

すかいらーく側からの、異物混入の可能性のあるものを絞り込みたいとの申し入れに基づき、金属片の情報として、金属片の写真、診断書、手術記録、原告のCT画像及びMRI画像を送付し、摘出金属片の成分分析を行う考えがあるのか否かについての回答を求めたところ、代理人弁護士が就任し、突如として、当職の質問に対する回答を行うことなく、「医療調査を実施し、具体的な治療経過等を確認したい」との連絡がなされました。

当職は、再度、質問に対する回答を求めたところ、「具体的な方法等も示すことなく抽象的に専門機関による成分分析に関する同意の有無の回答を一方的に求める貴職の対応については、疑問を抱かざるを得ない」との連絡がなされました。

当職が、「摘出金属片の成分分析を行う考えがあるのか否かについての回答を求めた」だけであるにも拘わらず、すかいらーく側は、質問の真意を正確に把握することなく、「考えがあるのか否かについて」の単純な質問に対しての回答すら行われませんでした。

当職は、Aさんの意向を踏まえ、すかいらーく側の対応について抗議しつつも、速やかに真相解明を行う必要性から、Aさんは、すかいらーく側が要求する同意書に署名押印し、代理人弁護士に送付致しました。

同意書の送付に対して、すかいらーくの代理人弁護士から、「成分分析を行うこと自体を必ずしも否定するものではございません」との回答がようやくなされるに至りました。

ところが、平成27年6月17日付書面で同意書を送付しているにも拘わらず、約1か月が経過した時点で診療記録の開示請求がなされていなかったことから、Aさんは、それまでのすかいらーく側の対応とも相まって、すかいらーく側は事件の風化を狙っているのではないかとの疑念を抱かざるを得ない状態におかれていました。

そのような状況の中、いやしくも、当職が書面を送付したのとまさに同日、株式会社すかいらーくが運営する「ガスト」において提供された「かき氷」に長さ約5ミリの金属片が混入するという事件が発生したのです。

本件事件では、すかいらーく側は、問題となった金属片を調査し、かき氷の製氷機に付随したアルミ製部品の一部であることを確認しています。

ところが、Aさんは、当該事件よりも、はるか以前に、金属片の混入の可能性について、すかいらーく側に指摘し、再発防止の為にも、速やかな原因究明を行って貰うよう、依頼したにも拘わらず、当時において、具体的なスケジュールを含めて、実質的な回答がなされていなかったことから、当職は、すかいらーくに対して、下記の質問を行いました。

1 同意書を送付してから一ヶ月が経過しているにも拘わらず、医療機関に対し、診療情報の開示請求を行っていないことはなぜか。

2 大阪の事件では、速やかに原因の調査をされたにも拘わらず、本件においては、原因物質の調査をされていないのは、いかなる理由に基づくものか。

3 通知人は、大阪の事件では、食べた直後に異物混入の指摘がなされ、貴社の責任を免れることができないことから、やむを得ずに対応したが、本件では、食べた直後でないことから、対応に差異を設けたのではないのかとの疑念を抱いているが、その疑念は誤っているのか。

4 仮に、対応の差異が「3」に掲げる理由ではないとするのであれば、本件対応と大阪の事件の対応で異なる対応をしている理由は何か。 その上で、今後の具体的なスケジュールについて、明示していただきますようお願いいたします。

(1)医療調査を行う時期及びその期間 (医療調査に、複数の段階があるのであれば、その段階毎に要する具体的な期間)

(2)原因物質の特定の為に必要な成分分析を行う具体的な時期

以上

ところが、すかいらーく側の回答は、大阪の事件では、「同店で提供したかき氷に異物が混入していた事実、及び、同店で使用されていたかき氷機が原因であった事実が速やかに確認されたことから、当社として、これを踏まえて対応したもの」であるというものでした。

さらに、すかいらーく側は、当職の上記質問に対して、「摘出された異物が夢庵大磯店にて提供した食事に混入したものであると判断するには至っておりません。」「医療調査の結果等を踏まえて成分分析等を行うことの有用性も含めて検討する」などと主張し、さらには、「本件については、貴職の立証に委ねるものとして、当初より医療調査の実施等を申し入れることもないところ」との、半ば本音を述べるに至っています。

すかいらーく側の本音としては、大阪の事件では、自らの経営する店舗で異物が混入したことが否定できなかったことから、対応したものの、本件では、混入自体を否定できる余地があるので、成分分析を速やかに行う考えはない、仮に、医療調査の結果から、因果関係を否定できるのであれば、混入の事実自体を曖昧にできると考えているとしか思えません。

また、「立証に委ねる」との主張は、訴訟になっても、立証責任を負うのはAさんの側なのであるから、立証されない限りは、責任を問われる謂われはないし、自らが不利益となりかねない成分分析などを行う考えがないとの意向を明らかにしたものとしか思えません。

Aさんが、すかいらーく側に、原因物質の特定に至るために、成分分析を求めている理由は、万が一にも提供された食事に異物が混入されていた場合、その再発防止を図るためです。

当職は、成分分析の結果、すかいらーく側の提供した食品の中に、当該金属片が混入する可能性がないということであれば、それで、すかいらーく側に対する責任追及を行う余地がなくなるのですから、速やかに協力していただきたい旨、再三申し入れを行っております。

本件において、すかいらーく側は、当職が原因究明を再三申し入れたにも拘わらず、平成26年11月26日以降、現時点で、既に一年以上が経過している状態で、なお、原因物質の特定はおろか、何らの再発防止策を講じることもなく(原因がはっきりしない段階では再発防止策を講じようもないと主張するのでしょうが。)、営業が行われているのです。

その間の平成27年6月17日において、すかいらーくが運営する大阪の店舗において、異物混入事件が発生し、社会的にも広く再発防止を誓っているにも拘わらず、本件についての成分分析を行わず、また、原因究明を行っていないということ自体、少なくとも、日本において、国内に2974店舗、海外を含む3013店舗を有し、多くの人々に対して、飲食物を提供している外食チェーン店の対応とは到底思えません。

すかいらーく側が、初めて、具体的に成分分析に協力する旨の書面を当職に送付してきたのは、平成27年9月14日付書面です。ところが、その内容からは、自らが積極的に原因究明を図ろうとする意識は微塵も感じ取ることはできません。

Aさんとしては、このまま原因究明がなされないまま、真相が闇に葬られてしまうことだけは、何としても、避けなければならないとの考えから、やむを得ず、本件訴訟を提起するに至りました。

株式会社すかいらーくは、国内に2974店舗、海外を含む3013店舗を有する日本を代表する外食チェーン店です。

しかも、株式会社すかいらーくは、統合型セントラルキッチンで食材を加工し、調理・物流、料理の提供までを一貫して行っているというのですから、万が一にも、統合型セントラルキッチンにおける食材の加工、調理の過程において、異物が混入したとすれば、異物の混入した食品が被告の外食チェーン店に広く拡散してしまうことにもなりかねません。

当職は、一般消費者に対して、広く食品を提供する企業であれば、異物混入の可能性を指摘された時点で、速やかに異物混入の可能性について、調査し、再発防止に務めなければならない条理上の義務を負っていることは明白であるものと考えております。

しかしながら、株式会社すかいらーくは、かかる義務に違反し、原因物質の特定すら行っていないのです。

また、異物混入の可能性を具体的に指摘した人に対しては、上記義務に加え、その申し入れに対し、会社として、しかるべき立場の者が、真摯に対応し、原因物質の特定の為に、「異物」が必要であるというのであれば、借り受けるにあたって必要な書面を交わす等、貸し出す者に疑念を抱かせることがないよう適切に配慮すべき義務を負っているというべきだと考えています。

しかしながら、すかいらーく側は、唯々「異物」の引き渡しのみを求めたのですから、すかいらーく側の行為には上記義務違反が認められるものと考えております。

すかいらーく側の答弁書には、

『被告従業員は原告に対し、被告にて異物の調査を実施することを提案するなど、本件について誠実に対応していたものであり、原告の主張するように、原告をクレーマー扱いした事実はない。それにもかかわらず、原告は、異物についての具体的な情報提供等もせず、また、被告にて異物の調査を実施することも拒絶した。そして、原告代理人が受任して以降も、原告は、被告店舗において提供した食事に原告より摘出された金属片が混入していたとする点について合理的な根拠を提示することもなく、また、再三にわたり、具体的な方法等も示すことなく、抽象的に専門機関による成分分析を実施することについての同意の有無を求めるなどの対応に終始し、さらには、本件とは直接関係のない他店舗での事故に関する回答を求めるなどしたものであって、被告としては対応に苦慮せざるを得ないものであった。このような原告側の対応にかかわらず、被告としては、本件についての原因究明のために可能な対応を提示等していたものであり、本件に関する経緯に係る原告から被告に対する非難は当を得ないものであって、被告としてはおよそ受け容れることはできないものである。被告としては、上記のとおり、本件について適切な対応を講じてきたにもかかわらず、本件訴訟が提起されたこと自体が遺憾ではあるが、原告として訴訟を提起した以上、訴訟手続において、原告が被告の法的責任について、請求原因(要件事実)を明確にした上で、上記1で述べた点等も含め立証責任を果たすよう求める次第である。』

とあります。

答弁書を読む限り、すかいらーく側が、「異物の調査を実施する」ことを、Aさんが拒絶したとありますが、当職は、「異物の調査を実施する」ことを求めておりますので、訴訟係属中に、「異物の調査を実施」していただきたいと思っています。

「異物の調査を実施」していただけるのであれば、敢えて、訴訟などは提起せずとも済みましたので。

この記事は弁護士・スタッフの個人的な意見や見解であり、当弁護士法人を代表するものではありません。

        

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